iPad Pro 11インチ 第3世代の水没復旧をご依頼いただきました

今回お預かりしたのは、iPad Pro 11インチ 第3世代の水没端末です。
本体を開封した瞬間に、液晶裏側から基板周辺まで広い範囲で水滴が残っており、内部にはっきりとした水濡れ跡が確認できました。

さらに、画面の端には乾きかけの跡もあり、水が入り込んだ状態でしばらく使用されていた可能性がありました。このような状態では、いつショートしてもおかしくありません。

まずは分解と基板の念入りな洗浄から作業を開始

水没端末は見た目以上に内部へ浸水していることが多く、今回も基板の裏側や細かいコネクタ部分まで水が入り込んでいました。

そのため、まずはiPadを完全に分解し、基板洗浄・アルコール洗浄・乾燥工程を時間をかけて実施しました。
さらに、コネクタ周辺には軽度の腐食が始まっていたため、研磨とクリーニングで接点不良のリスクを取り除いています。

しかし、水没は洗浄しても“完全に元の状態に戻る”わけではないため、後から腐食が進んで再発する可能性は残ります。

画面側の水濡れが重度だったため交換を実施

液晶パネルの裏には大きな水滴が複数残っており、タッチ不良や表示ムラの原因になっていました。

iPad Pro の液晶はタッチセンサーと一体型で、少しの水分でも誤作動が起きやすいため、今回は 画面交換も同時に実施しています。
さらに、液晶ケーブル部分にも水が触れた形跡があり、このまま使用すると表示不良が再発する可能性が高い状況でした。

新しいパネルに交換することで、タッチ反応や明るさ調整も問題なく復旧し、通常通り操作できる状態に戻りました。

無事に起動！ただし今後の利用には注意が必要

復旧後のiPadは無事に電源が入り、動作確認ではタッチ操作・スピーカー・カメラ・充電すべて問題なく動作しました。

データもそのまま保持されていたため、お客様にも安心していただける仕上がりとなりました。
しかし、水没端末は復旧しても長期的な再発リスクが残る点に注意が必要です。内部の腐食が時間差で進行し、数週間後に起動しなくなるケースもあります。

そのため、これからはこまめにバックアップを取り、少しでも異常を感じたら早めの点検をおすすめします。