ASUS ZenFone 5Z (ZS620KL) 水没復旧って具体的にはどんなことしてるの？ | スマホスピタル

iPhone X以降のホームボタンがない機種を拒否し、iPhone 8を使い続けたり3月発売と噂のiPhone SE 2を待ち望む人は決して少なくありません。iPhone 7 / 8はボタン押し込みが出来ないので、iPhone 6s以前を使い続ける人もいます。
なんとなく同じ雰囲気を感じているのがWindowsです。Windows Vistaが出たらXPが使いやすいと言い、8や10が出たら7が使いやすいと言う。もしかしたらCDが出たときもレコードの音質が良かったと言っていたかもしれません。
しかし結局使い慣れているからそう感じるだけ、と個人的には思います。
様々なメーカーが個性的な端末を開発できるAndroidに慣れている人のほうが未知のものに対する柔軟性は高い、というのは言いすぎでしょうか。今回はSIMフリースマホとして人気の高いZenFoneシリーズから、2018年発売のZenFone 5Zです。

こちらは先日からお預かりしていたASUS ZenFone 5Z (ZS620KL)を分解したところです。通常の修理――画面割れやバッテリー交換など――でこのように基板を取り外すことはありません。
例えば画面修理であれば、ディスプレイケーブルがバッテリーの下を通っているのでまずバッテリーを外し、次に表から隙間にカッターを差し込んで分離させていきます。分離できたら新しい画面をつけてもとに戻していけば作業は完了。バッテリーだったら画面交換の途中までの作業で交換できることも分かるかと思います。

ではなぜ基板を取り外しているかと言うと……今回の修理依頼が水没復旧だったからです。
そもそもなぜ水没すると動作がおかしくなるのか？　分解してみれば分かりやすいかもしれませんね。基板上にはケーブルをつなぐコネクタや、極小サイズのコンデンサなどが取り付けられています。これらが水に濡れればショートして、過電流によってパーツを破損してしまうのです。運良く破損しなかったとしても、液体中のミネラルが結晶化して通電を阻害することも十分考えられます。

実際、この端末は下側のサブ基板とメイン基板をつなぐコネクタ部に焦げたような跡が見られました。規則正しく並んでいるはずの金色の端子に陰りがあるのがわかります。完全に通電しなくなっているのか、汚れているだけか、肉眼では判別できません。
水没復旧修理はまず基板を取り出して洗浄を行います。しっかり乾燥させたほうが復旧率は上がるので基本的には1日以上のお預かりとなります。お急ぎでどうしてもということであれば、数時間程度の乾燥で組み上げることも可能ですが、当然復旧率とはトレードオフになるのであまりお薦めはできません。

十分に乾燥させたら組み直して起動するかテストを行います。ちなみにお預かり時点では、充電しても画面やボタンを操作しても全く反応がない状態でした。最低限起動する状態にしてスリープボタンを長押しすると……反応無し。充電ケーブルをさしてみたら赤いランプが点灯しますが、不安定なようで点いたり消えたりしました。やはりサブ基板のコネクタに問題がありそうです。

他に改善する方法はないのか……？　いえ、まだあります。水没の影響で画面やバッテリーが駄目になっているのかもしれません。幸いZenFone 5Zはどちらも背面にコネクタがあり、新しいものとコネクタを付け替えるだけで動作テストが可能です。テストして起動すれば、また分解して交換することで正常に使えるようになるでしょう。ただし、基板がダメージを受けたことには変わらないのでいつまで使えるかは保証できません。操作できるようになったら早急にバックアップを取るのが賢明でしょう。一つ問題があるとすれば交換する画面やバッテリーの在庫が無いことでした。

つまり、本日の作業はここまでです。続きは部材入荷次第となります。充電に問題がありそうなのでドックコネクタも交換したほうが良いかもしれません。お客様に説明したところ、入荷を待つということでした。届き次第交換を行います。ここが踏ん張りどころだぞー、頑張れー！！

Androidは機種によって内部構造が大きく違います。これもまた、様々なメーカーが参入しているAndroidスマホの特徴で、修理部材の入手しやすさも千差万別です。
iPhone修理店は数あれど、Androidに対応しているところはまだまだ少ないのが現状。お困りの際はスマホスピタル博多駅前店にご相談ください。